■マニフェストとは?
有権者と候補者の契約書。
政党や候補者がビジョンや政策を具体的にした、事後検証可能な選挙公約のことです。目指すべき国や地域の方向性を示したうえで、それを実現するために必要な政策が求められます。
※選挙公約=政党や候補者が当選後に実行する有権者との約束
■マニフェストの効果は?
選挙は民主主義の根幹で、マニフェストは民主主義を支えるツールです。私たちの一票を投じて当選した政治家が、私たちの納めた税金の使いみちを計画し、政策を実行しています。つまり、いい加減に政治家を選ぶと、いい加減な政治家が、いい加減なことをしてしまうわけです。
マニフェストでは、ありたい国や地域の将来像を明らかにし、実現するための具体的な政策を示します。また、財源が限られるなかで「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」の政策の選択が行われます。
■マニフェストの種類と項目は?
マニフェストは、大きく「国政(パーティー・マニフェスト)」と「地方(ローカル・マニフェスト)」に分かれます。また、「地方」は二元代表制のため、「首長」と「議会(会派・議員)」二つのマニフェストに分かれます。さらに、住民側が「政治家に実行してほしい政策」を提示して実現を迫る「市民」マニフェストもあります。
<ポイント>
- 将来像を示したうえで、実現するための政策を具体的に体系的に示す
- 限られた財源の中で、優先的に取り組む政策を明らかにする
- 優先する政策を実施するために、縮小・廃止する政策も示す(財源の配分を説明)
- 約束を守ることが大前提だが、災害発生など、やむを得ない事情により変更が生じる場合は、有権者に対して説明責任を果たさなければならない
■マニフェストのPDCAサイクルとは?
マニフェストは選挙のときに出して終わりではなく、PDCAサイクル(PLAN:計画→DO:実行→CHECK:検証→ACTON:改善)をまわし、その過程をオープンにすることが大切です。また、政策で選ぶ選挙を実現するためには、候補者だけでなく、有権者、選挙管理委員会、メディア、民間・技術者など、それぞれがそれぞれの立場でPDCAサイクルを実践することが必要です。
■マニフェストの導入と広がり
~自治力が問われる地方にマニフェストを~
マニフェスト提唱者、早稲田大学マニフェスト研究所所長(2015年4月~ 同所顧問)
特に地方選挙はマニフェスト選挙と相性が良いと思います。国政は、外交、防衛、経済、社会保障……多くの要素が入っています。地域によって重要性が違いますが、統一地方選挙は地域限定版なので、駅前の再開発、介護保険、学校の給食などテーマが非常に見えやすい。候補者は今後、どこどこの団体が推薦で…と胸を張るのではなく、「この政策を実現するために立候補した」と掲げる方が良い。有権者の方も問題を「誰」が「どう解決してくれるのか」が分かりやすい。